<三浦愛さんからのお便り>
1997-98年のハノイ留学中に国際協力に興味を持ち、国際開発系大学院修了後、国際協力機構(JICA)にてベトナム・カンボジア教育案件担当、2004年からカンボジア教育省(日本の文部科学省)で日本政府支援による教育案件(教育政策策定・理数科教育支援等)の形成・監理専門家を2年間しました。
教育専門家を目指したのは、留学時代、ベトナム人に「日本は裕福で、ベトナムは貧しい」とよく言われる一方、日本では神戸小学生殺害事件等、殺伐としたニュースが増え、経済的な豊かさが心の豊かさと必ずしもイコールではないのではないか、ドイモイブームのベトナムで経済発展と心の幸せを満たすにはどうすればよいか、「自ら考え、選ぶ力」を身につける教育が重要だと感じたからです。
援助依存度の強いカンボジアと比べ、ベトナムは一度決定が下されると物事が進むスピードは速く、自分の国は自分達で作る、という意識が非常に高い国です。ベトナムの実力・潜在能力を見極め、いつまでに、どのように成長することが望ましいか、相手と共に議論を積み重ね、実を結び、喜びを共有出来た時に、この仕事の面白さを強く感じます。専門家とは現状を適格に判断し、共に考え、時に適切な情報とアドバイスを与え、その国に一番合った仕組みを作れる人のことだと思います。私はまだ一緒に学びながら考えている段階です。
久々のベトナムで驚いたのは、物凄い勢いで進むインフラ整備。留学時の通学路と同じ場所?と驚くこともしばしば。インフラネットワーク開発(道路・橋梁・港湾等)による工業団地の進出、地域経済の活性化を目の当たりにします。ただ、急速な発展の影で、先進国が時間をかけて積み上げたことを短期間で達成しようとしているため、制度・法律整備面で課題が多く、長期的・包括的な人材育成が必要です。 私が順調にキャリアを積めたのは、偏にベトナムのお陰です。自分は拘りませんでしたが、実際はベトナム語専攻ということで関心を持ってもらえたことが多かったです。「ベトナムにちょっと詳しい」だけでは不十分ですが、「分野だけ」でも人と差がつかないのだと思います。
今後は、活動範囲を拡大、地域や組織を超えてグローバルに活動する専門家になり、多くのチャンスをくれたベトナムへの恩返しのため、修行を積み、もっと強力になって戻ってきたいと思っています。