
続いてのMr.JETROは、2001年卒業の小林君です。彼は、お便りの中でも紹介ありますが、熊本駐在時代に書籍を出版しています。当然、私、購入済&熟読済でございます。小林君のお便りの後に、誠に勝手な書評を付加しますので、ご興味ある方は、私の書評を読まず、本の御購入を優先願います。さて、北嶋君に続き、小林君もマクロ経済学で言うところのマンデルフレミングモデル(IS-LM-BP曲線のこと、フレミングの左手の法則とは違うらいしい・・・!)の線上を歩く男なのです。彼が、動いたら、冗談抜きで、IS-LM-BP曲線は、彼のシナリオ通りに動くのでは・・・っと思いました。確かに、国家レベルでは難しいかもしれないが、彼が熊本で興した功績は、熊本県におけるBP曲線を移動させた事は事実。ちょっと、大げさかもしれないけど、watch him! であることは、“間違いない!”(ちょっと古い?)。。。(文責.竹山)
<小林恵介さんからのお便り>
この度、竹山さんからご依頼をいただき、原稿を書かせていただきます小林恵介と申します。よろしくお願いいたします。現在、日本貿易振興機構(ジェトロ)という組織の在ハノイ事務所で働いております。私事で大変恐縮ですが、学生時代から現在まで、どのように過ごしてきたのかを書かせていただきます。
【学生時代】
外語大一年目はほとんど講義に出席していなかったと思います。一年間大学浪人していたため、「もう勉強はしたくない」と考えていたような気がします。それでも、二年目からは真面目に講義を受けるようになりました。勉強という面で最も注力したことを挙げると経済学になります。ベトナム語については、もちろん自分なりに語学力を向上させるよう努めていましたが、同等もしくはそれ以上に経済学に関心を持って勉強していました。理由は3つあります。一つは、ベトナム語に加え、他のツールや考え方を身に付けたいという想いがあったため。二つ目には、大学浪人時代に毎日英語を勉強し、大学入学後にさらにベトナム語を勉強していましたが、経済学での考え方、論理の組み立て方が非常に新鮮に感じたことため。三つ目には、他大学の大学院へ進学し、経済学というツールをもう少し深く知りたいという想いがあったためです。外語大を卒業した後、一橋大学経済学研究科(修士課程)に進学しました。周りの同期生と比べ、授業の理解度もかなり遅れ気味で苦労しましたが、それまであまり感じることがなかった「勉強が楽しい」と思える瞬間がいくつもありました。
【ジェトロを選んだ理由と、ジェトロでの業務内容】
ジェトロでの経歴を簡単に説明させていただきます。
・2003年4月 ジェトロ東京本部 貿易開発部アジア支援課
(担当業務:東南アジア諸国を対象としたODA事業)
・2005年1月 ジェトロ熊本貿易情報センター
(担当業務:管理系業務、貿易・投資に係る相談業務、輸出促進事業、調査業務
・2008年3月~現在 ジェトロハノイセンター
(担当業務:ODA事業、ベトナム関連情報の収集・提供)
就職先としてジェトロを志望した理由はいくつかあります。一つには、学生時代に学んだ「ベトナム(語)」と「経済学」の双方を使える可能性が高いと考えていました。二つ目には、故郷である北海道にも事務所があり、北海道で仕事ができる可能性もあるためです。三つ目には、若干大げさな表現ですが、日本のために何か役に立ちたいという想いがあったからです。ジェトロは公的機関であるため、お客様は日本の企業・個人の方々です。ジェトロはODA事業も実施していますが、当該事業も、ベトナム政府・企業だけではなく、日本(企業)にもメリットがある事業を組み立てることが求められます。
ジェトロに入って良かった点としては、ジェトロが、日本企業のニーズ、または政策ニーズに応えるためであれば、様々な支援ツールを構築できる組織だったことだと考えています。例えば、私は昨年、ジェトロから本(タイトル名=「世界に羽ばたく!熊本産品~一次産品の輸出成功事例から学ぶ~」(リンク先⇒⇒⇒)を出版しました。日本各地で、食品輸出の機運が高まっており、従来取り組みをしてこなかった企業が海外販路の開拓・拡大に関心を持ち始めています。ジェトロ地方事務所発の有料出版物はこれまでなかったと思いますが、私自身は、食品輸出のノウハウやケーススタディに係る情報ニーズがあると考え、組織内での承認を得、熊本県内で食品輸出に成功した企業への取材内容を本にすることができました。お客様のニーズと自分のアイデアで多様な事業・調査ができるということは、幸運なことだと考えています。
【今後の夢、外語大生へのメッセージ】
私はそれほど大きな夢を持つことはないのですが、今後も日本、ベトナム両国のお客様に対し、地道に情報提供できればと考えています。ただ、社会的、経済的に大きな変動があり、また日本企業からの注目を集めている国に身をおいていることは、他の社会人と比較して有利な点と考えています。この優位性を活かしつつ、お客様の情報ニーズと自分の視点というものを軸に、情報発信していければと考えています。
外語大の現役学生の方々には、ベトナムに限らず、世界へ目を向けながら楽しく日々を暮らしていただければと思います。当然のことかもしれませんが、外語大生の特長は、海外へ出ることに抵抗がないことだと思います。異なる環境にどんどん身をおき、広い視野を持って勉強、就職活動を行ってください。
<竹山の読書感想文>
小林君が出版しました“世界に羽ばたく!熊本産品 published by JETRO”を読んだ感想を書きます。まず、ネットで注文後、受け取るまでに10日を要しました。昨今のAmazonに慣れっ子の私としては、配達の遅さに苛立っていましたが、本を受け取るやいなや、度肝を抜かれました。JETRO BOOKSは、注文を受けた後に、印刷&製本工程に着手するらしいのです。こっ、これは、DELLのビジネスモデルをJETROがベストプラクティスとして真似ているって事です。要するに、JETROは、在庫ゼロでの書籍販売をしている訳です。On demandです。Greatです。さて、そろそろ、本の書評に入ります。熊本県の農業(第一次産業)について、統計を用い、日本国内におけるシェアの高さ、県経済に与えるインパクトの高さを立証した後、JETROとして熊本県の農業活性化への取り組みを数点のケースを紹介する形で構成されています。日本は工業国故に、第一次産業は軽視される傾向にあるが、いや、本来ならば、食料自給率の観点からも注目されるべき産業であるが、注目を浴びない。そんな環境の中で、小林氏の書籍は、熊本県農業従事者に希望を与えるだけでなく、非農業従事者にとっても、がんばる農家の姿を知ることで、なぜだか、応援したくなる。その気にさせられたのは、彼の功績かと思います。また、豊富な海外輸出ビジネスのケースを紹介する事で、JETROの仕事をアピールするだけでなく、日本農業の世界の中でのポジショニング(戦略)が見えてくる。ひとつの例として、畳に使用されるい草。熊本は、日本生産シェア97%。しかし、安価な中国製品の台頭、また、違法での熊本県産品種の中国からの逆輸入により、生産量はピーク時の26%まで落ち込む。そんな試練続きの熊本県のい草農家(組合)は、どんな手に打って出るか?この回答は、是非、本を御購入して頂けたら解説されています!(プロモです!)本の末尾には、小林君の優しさが伝わってくるような分かり易い輸出成功要因が纏められています。コスト削減/付加価値の付与/海外出張での試食イベント/フットワーク/熱意等々。小林君の許可無く、本当に勝手だが、竹山的にひとつ追加したいと思います。熊本県を初めとする九州地方は、知らないうちに農業競争激戦区になっているのです。競争激戦区(産業集積地)は、工業で言うならば、大田区、TOYOTA城下町、浜松市が有名だが、その中で切磋琢磨して生き延びることが企業の競争力の源泉と言えます。これは、ニッチ戦略やブルーオーシャン戦略とは逆行しますが、敢えて激戦区の中で、時に切磋琢磨し、時に同業者が情報交換する。それが、競争力強化につながっている気がします。熊本県も立派な農業クラスター地域ですし、JETRO熊本は、その競争力確保の為に、いい仕事してますね!どう、小林君、この視点、30点くらい貰えそうな分析でしょうか?やはり、可っすか?
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