あなたは、越語が得意ですか?No, I am not good at. では、あなたは、仕事で越語を活用していますか? No, of course, ノー ! では、あなたは、越科スピリッツを保持していますか? Yes, sure! 以上の3つの質問を投げかけヒットした一人が、この佐藤愛歌さんです。私と同じ道を歩むものと勝手な親近感を抱き、今回、原稿作成を強制しました。狙いは、スピリッツだけでも、生きて行くことは可能であることを立証したかったからです。角川に勤務する彼女のセンス、文才に魅かれます。また、意味不明な写真からは、これもまた勝手に、「いばらの道を好む」観点から、親近感を抱きました。かのアントニオ猪木氏は、引退のリングにおいて、「道」という詩を詠んでいます。「この道をいけばどうなるものか!歩むぶなかれ、歩むべば道は無し!踏み出せば、その一足が道となり、その一足が道となる!迷わず行けよ、行けばわかるさ!ありがとー!!1,2,3、だぁーーー!!!」 ちょっと、脱線しましたが、佐藤さんの仕事は、有名作家の発掘から育成、二人三脚活動、そして名著作の創造と楽しそうですね。(文責.竹山正人)
<佐藤愛歌(サトウヨリカ)さんからのお便り>
「竹山せんぱーい!どうして私なんかに「越南ネット」の原稿を依頼したのですか?」と聞いてみたところ、「お前ほどベトナムにかかわっていない奴はいない(が、編集者というから、まあ、文章は書き慣れているだろう)から」と言われました。ベト科の卒業生として相当不本意な部類でお恥ずかしいのですが、こんな卒業生もいるんだと、お楽しみいただければ幸いです。
私が外大を卒業したのは2000年3月。最後の北とぴあでの卒業式でした。卒業後はコンピュータ雑誌の編集に2年ほど関わり、それから角川書店に入りました。書籍編集の仕事を本格的にするようになってからは丸3年半といったところ。まだまだ駆け出しの身としましては、毎日息つく暇もなく、どころか、息を止めて猛ダッシュしているような気がしています。
越南ネットに何を投稿しようか、うんうん唸っていたこの2か月の間には、特に大きな出来事が2つありました。1つは、日本ホラー小説大賞という、我が社が主催している新人賞の、今年の大賞受賞作『庵堂三兄弟の聖職』を担当して刊行したこと。著者の真藤順丈さんは、ダ・ヴィンチ文学賞大賞、日本ホラー小説大賞大賞、ポプラ社小説大賞特別賞、電撃小説大賞銀賞と、約半年の間になんと4つの新人賞を次々に射止めて作家デビューを果たした、話題沸騰中、驚異の大型新人。お近くの書店で、どうぞお手にとってみてください。死体を加工して櫛や箸、かばんから卓袱台まで、ありとあらゆる生活用品を作り出す「遺工師」の家に育った三兄弟のお話です。死体を解体するさまはホラー小説らしく生々しいのですが、それだけにとどまらない物語に仕上がっているのが最大の魅力。青春、家族、成長、仕事、愛、生と死……人生におけるあらゆる要素が、しっかりと織り込まれた大エンターテインメント小説ですので、ホラーの冠に恐れをなして読み逃されることのありませんよう。
そしてもう1つは、6月末に刊行した津村記久子さんの『ミュージック・ブレス・ユー!!』が、この11月に野間文芸新人賞を受賞したこと。受賞はひとえに作家と作品の力、それから時機のなせる技ですが、私が自分から初めてお願いして書いていただいた書き下ろし小説だったので、感慨もひとしおでした。『ミュージック・ブレス・ユー!!』は、勉強もできず進路も決まらないさえない毎日を、パンクロックを心の糧にして過ごしている女子高生・アザミの約1年を描いた青春小説。「何も持たないことを肯定する小説を書きたかった」と津村さんは語りますが、何も持たないことがこんなにもかけがえなくて愛おしく、そして懐かしいことか。
思えば私自身、外大で過ごした4年間だって、何をなし遂げたわけでもなく(すみません!)、だらだらとアジア通りでおしゃべりをしたり、ボートを漕いだりお花見をしたり、何にもなくても突発的に飲みに行ったり、飲んだくれたり酔っぱらったり、そんなことばかりが思い出されます。強引かつ情けない限りですが、ほぼすべてのことがかけがえなくて、懐かしい日々だったりするなあ、と思いを馳せたりするのです。